より信頼される伴走者となるために(伴走体験)

2019年2月27日

国際盲人マラソン5kmの部に、視覚障がいランナーの工藤星奈さんの伴走者として出場する女優・ヨガインストラクターの松本莉緒さん。彼女にとって初めての伴走体験から1ヶ月も経たないうちに第2回目の伴走練習会が行われました。

前回は工藤さんが在学する筑波大学附属視覚特別支援学校の校庭内での練習でしたが、今回は学校の外に出て自動車やバイク・歩行者などが行き交う生活道路での伴走練習会となりました。

2人にとってベストの“ヨガ”ウォーミングアップ

ヨガの指導者として国際ライセンスを持つ松本さんは、2月16日にオープンしたばかりの“@yogalife fuchu”(アットヨガライフ府中)をプロデュースし、ヨガ雑誌の“Yogini”(ヨギーニ)の表紙を務めるなど、ヨガへの情熱とともに多忙な日々を過ごしています。

そんな松本さんが、前回の伴走練習会で工藤さんとの息を合わせるキッカケになったのもヨガでした。前回は練習会の中盤にヨガタイムを取り入れましたが、今回の練習会ではウォーミングアップのストレッチの後に、ヨガで2人は息を合わせます。

「今回は前回よりもヨガの時間を長くして、星奈ちゃんとコミュニケーションを取りたいと思っていたんです。彼女は体が柔らかくて、いつものヨガクラスで教えている内容にうまくフィットしたので良かったです。」

そう話す松本さんとともにヨガでリラックスする工藤さんは「今日は寒くて午前中から体が冷えていましたが、ヨガをやって体が温まりました。今後自分でも取り入れてみようと思いました。」と、笑顔で話しました。
2人が息を合わすために、ベストなウォーミングアップといえるヨガが終了。2人はいよいよ学校の外での伴走練習に入りました。

視覚障がいランナーの感覚を知る

自動車、バイク、自転車、歩行者など様々な人が行き交う細い生活道路では、公園や大きな歩道に比べて死角も多く、より衝突の危険性が高まります。視覚障がいのある人にとっては、どの場所を走る時でも伴走者の指示を聞く集中力が必要ですが、死角の多い場所では伴走者は集中力だけでなく即時の判断力も必要とされます。

日頃より工藤さんを指導する、陸上競技部顧問の原田清生先生、佐藤北斗先生のサポートのもと伴走がスタート。序盤から工藤さんと松本さんの走りのリズムはシンクロしており、前回の練習の成果が見てとれます。工藤さんはその時に「すぐに足のリズムが合ったので、“おぉー!”」と、感じたそう。

歩行者などの“動くもの”に加えて、段差や下り、上り坂の程度、長さ、コーナー、交差点など注意すべきポイントがたくさんコース上にあります。スローダウン、ストップ、方角や始まりと終わりの区間を告げるなど、声かけの内容は様々ですが「◯◯が△△なので□□しましょう」などと、シンプルに伝えなければなりません。

伴走者としてその難しさを体験した松本さん。次に、相手がどのように聞こえているのかを体験するためにアイマスクを着用して、視覚障がいランナーの感覚を知ります。工藤さんの伴走を普段から務める佐藤先生に伴走してもらい、先ほどと同じコースを走ります。

目隠しした状態で聞こえる人の声から足裏の感覚にいたるまで、どれもが松本さんにとっては新しい感覚です。「ちょっとした音や人の声でドキドキするし、足もふらつきながら、真っ直ぐ走れなかったです。」松本さんはその後、工藤さんとの伴走練習を再開。最後は校庭に戻ってきて第2回の練習会が終了しました。

最後にサプライズプレゼントが…!

今回の練習後に松本さんから工藤さんへの“サプライズプレゼント”がありました。ディズニー好きの工藤さんに、チップとデールのぬいぐるみ、ケア用品、チョコレートといったディズニーグッズの嬉しいプレゼントでした。

「前回の練習会の時に、星奈ちゃんが“今度ディズニーに行くんです!”っていう話をしていて、その時にどのキャラクターが好きかというのを聞いていたんです。」思いやりのある松本さんから、心のこもったプレゼントを受け取った工藤さんの“満面の笑み”がとても印象的でした。

「今回の練習で松本さんにアイマスク体験をしていただき、障がい者の世界を知ってもらうことができて嬉しかったです。これからどんどんペースを上げていって本番に挑みたいです。最後のサプライズが本当に嬉しかったです。」

松本さんは今回の練習会をこう振り返ります。「アイマスク体験はすごく怖かったです。伴走者として誘導するためには、相手に信頼される存在にならなければいけないと感じました。今回の練習会は私にとっては刺激が強かったですが、色々と考えさせられる内容でした。」

それぞれの練習会ごとにレベルアップする2人。いよいよ4月の国際盲人マラソン5kmの部に向けて、最後の練習会となる第3回伴走練習会を来月に控えます。次回のレポートをお楽しみに。

 
 
[第1回伴走練習会のレポートはこちら]
笑顔とヨガがもたらした2人の絆

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河原井 司

ライター。かすみがうらマラソンでは2015年大会に2時間57分09秒でマラソンを完走し、2018年大会では視覚障がいランナー・伴走者とともにマラソンを完走。